博物学的思考の楽しみ
中学一年のとき近所の裏山で久しぶりに樹液の出ているなじみの深いクヌギを
見に行った。 下は絶壁でその木は近づかなくても虫の様子を見ることが出来た。
今から思えばキマダラヒカゲやスズメバチが吸蜜の訪れ、カナブンが5,6匹いつも
群がっているすばらしい木であった。
まだチョウの名前も知らず、ノコギリクワガタやコクワガタが採集の目的であった。
突然 紫色のチョウが横の葉っぱに止まり瑠璃色のラインをこれ見よがしにゆっくり
翅を動かしている。見たこともないチョウだ。新種に違いないと思い、急いで山道を
駆け下り、雑魚取り用の網を取りに帰った。祈るような気持ちで戻ったがまだ
同じ場所に陣取っている。 はやる心押えて近づくまで待ち続けやっと捕まえた。
持ち帰り眺めていると近所の大学生が名前を教えてくれた。
ルリタテハで新種でないことも知ったが、標本を作ることでなにか学者になったような
気分になった。
ちょっとの機会が一生かかわることになる。採集は本能なのかそれからいろいろな
虫を採集し、そのたびに興奮し、また標本を並べることでそれぞれの違い、共通性
など解ってきた。
切手とは違い持つ特長により分類でき、季節、大きさ、色、飛び方などでおおまか
近い種類がわかるようになった。 今から考えれば知的好奇心が強くなった
キッカケでもあったように思う。 今の学術的思考法ではないがなんでも
身近なものを知ることは楽しいことだある。
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