丹波は日本列島の中央に位置し、年平均気温、降水量ともほぼ平均的な値を示している。生物についても氷上回廊を境に東西の種類が共存している興味深い地域である。また太平洋側と日本海側の生物がこの回廊を伝って移動していくことが知られている。したがって生物相も豊富である
小説 エッセイ

多紀連山周辺の貴重な昆虫

@     ムカシヤンマ (トンボ目)(ムカシヤンマ科 )

 成虫の大きさ約6.5cmから7.2cm.羽化殻の大きさ約3.5cm.動きがゆるやかでよく日当りの
よい場所に止まっています.出現は5月から7月まで.幼虫は低山地の水がしみ出すような湿った
斜面や,コケの下などに穴を掘ってすんでいます. 形態に原始的な特徴を多く残しているのでこの和名がついている。兵庫県でも少なくレッドデータ(B)ランク

Aオオルリボシヤンマ  (トンボ目) (ヤンマ科)

長さが7.6センチ〜8.6センチほどになる大型のトンボで、ルリボシヤンマの仲間の中では一番
大きく、オスの体にある模様が成熟すると鮮やかな瑠璃色になるところからこの名前があります。ルリボシヤンマに比べ、丘陵地から山地にかけての、いくぶん深い大きめの林に囲まれた池沼に
生息する。産卵は腹部を水面に入れながら水草に産卵します。

 

クツワムシ  (バッタ目) (キリギリス科)       絶滅危惧種(C)

ガチャ・ガチャと遠く離れていてもこの金属音は耳につきます。林縁や堤防などの背の高い草地があればガチャ・ガチャと聞かれたものだが最近では局地的にしか生息しない。個体数が減少している。

コオイムシ    ( カメムシ目) (コオイムシ科)

昔は防火用水などにガムシやゲンゴロウの仲間などたくさん見られたが最近では生息が限られて
いる。池や沼などの流れのない水域でアシやガマなどが生えている岸辺に生活するコオイムシの
オスはしばらくの間、その卵塊《らんかい》を付けたまま生活します。この行動が、卵を外敵から守るだけでなく、卵の状態を常に快適に保つことに役立っています。子育てにかかわる昆虫は少ない。

ゲンゴロウ  (コウチュウ目)(ゲンゴロウ科)

丹波ではまだ以前の水田環境が残っていて、成虫、幼虫とも観察できる貴重な場所がある。

ゲンゴロウは幼虫期を水中で過ごすが成熟すると陸に上がって、地中で蛹化するため

土地改良された水田などでは生活できない。絶滅が心配される。

 

クロゲンゴロウ (コウチュウ目)(ゲンゴロウ科)

一般にゲンゴロウ科の昆虫は少なくなっているがこのクロゲンゴロウも同様である。

 

ヒメボタル (甲虫目) (ホタル科)    

陸生のホタルで,ゲンジボタルやヘイケボタルよりも一回り小さいことから「ヒメボタル」と呼ばれています。地域によってはヌカボタルとも呼ばれ,小さいながら線香花火のような強い光の点滅が特徴となっています。メスの後翅が退化して移動できないので生存環境が継続していることが必要です。環境指標として自然度の状態を見るのに貢献。オスは後翅が発達しており飛ぶことが出来ますが弱々しい飛翔です。生息地で飛んでいるのはオスばかりです。

 

ゲンジボタル (甲虫目) (ホタル科)

ホタル調査で丹波全域に分布し山間部では多数発生するが減少が心配される。

近年ホタル保護区があちこちに見られるようになった。

 

カタツムリトビゲラ (トビゲラ目)(カタツムリトビゲラ科)絶滅危惧種(C)

小さい砂を使って、直系2.5mmほどの巻貝形の巣を作る。水の滴る岩盤や礫の裏側に張り付いて生活する。寺の薄暗い庭園の砂礫の下で見つかった。

 
ナガフトヒゲナガゾウムシ  (コウチュウ目)(ヒゲナガゾウムシ科)           

日本では1978年に和歌山県で初めて見つけられた種で、翌年福知山で見つかり、天王山で
多数見つかった。兵庫県でも山東町になどで見つかっているが少ない。コナラなどの広葉樹の
枯れ木や薪、灯火にも集まる。シラカシの薪で採集。

 

クロヒカゲモドキ   (ジャノメチョウ科) (ヒカゲチョウ属 )


ジャノメチョウ科の中では中型の種で、山地のクヌギなどの雑木林の空隙地や周辺部で見られ、
樹液や果実に訪れます。本種の生息場所である雑木林の減少や、開発に伴う食草の刈り取りが原因と思われる。以前観察出来たところは別荘地などで壊されていた。 

オオムラサキ (チョウ目)(タテハチョウ科)

国蝶 夏の雑木林でカブトムシやクワガタに混ざって樹液に来ています。近年、里山の雑木林が開発により減少し、 年々生息地が減り、なかなかその姿を見ることが出来なくなってきました。食草はエノキで夜灯火に集まることもある。        

ギフチョウ   (チョウ目)(アゲハチョウ科)

以前火打ち岩周辺の川沿いに乱舞している姿が観察されたし頂上付近でも観察された。本種の生息にはこうした集合離散できるような里山的環境が必要となる。交尾後の♀は,ミヤコアオイやサンインアオイの葉裏に数卵から十数卵まとめて産卵する。

  

ウラナミアカシジミ      (チョウ目)(シジミチョウ科) 絶滅危惧種(C)

生息地は局地的である。
アカシジミより生息地はやや限られるが個体数は本種の方が多かったが今では以前多数観察された地域が開発され見られなくなった。さらに調査が必要


ウマノオバチ   (ハチ目)( コマユバチ科)      

平地の里山や低山地に局所的に生息し、5月頃発生し、クヌギ材中のシロスジカミキリの幼虫に寄生する。 アラカシの巨木の周りを長い産卵管をなびかせながら飛翔していたのを観察できた。観察機会の少ない種だと思う。

 

ミスジチョウ(チョウ目)(タテハチョウ科)絶滅危惧種 Cランク

 生息環境は、食樹のカエデ類が豊富に生えている山地の渓谷地帯の落葉広葉樹林である。社寺や公園などに植栽されたカエデ類に発生することも多く、採集できたのはほとんど社寺林である。 

ヨコヤマトラカミキリ  (コウチュウ目)(カミキリ科)

 

 低地から山地まで広くいますが,個体数は少ない。材に来ることはなく,花に飛来する。幼虫は各種広葉樹の細い枝を食べますが,ヤシャブシに多いようです.

ソボリンゴカミキリ   (コウチュウ目)(カミキリ科)

 本州,四国,九州に分布します.幼虫はツツジ科の生木を食べます.
成虫は朝や夕刻に活発に飛翔します。

 

コムラサキ   (チョウ目)(タテハチョウ科)

 コムラサキは渓流沿いに多く見られ、柳類に集まっていることが多いです。休耕田や湿地、池の周囲などに見られた。

 

ウラゴマダラシジミ       (チョウ目)(シジミチョウ科)

広義のゼフィルスの仲間に含まれるウラゴマは、なかなかの美麗種である。7月に入ってから出現する。

 

オナガアゲハ (チョウ目)(アゲハチョウ科)

・年2化、5月頃と7月〜8月頃に見られる。北海道から九州まで分布する。
・幼虫は、コクサギを好み、他にカラタチ、サンショウ、イヌザンショウ、カラスザンショウなどのミカン科を食べる。この地域はコクサギや他の食草も多いのに観察は少ない。