肥後の守という折りたたみの出来るナイフをポケット
に今では小さな山でもその頃は未知の世界であった。
あちこちに防空壕があり中は真っ暗で面白いがすぐに
飽きて新しいところを開発する。 赤土のがけのとこ
ろには霜崩れの小さい穴があり上から木の根がはり土
を巻いて垂れ下がっている。なぜかそこには薄緑のひ
も状の植物があり出来上がった隠れ家の敷物になる。 |
|
木の枝でシャベルを作り仲間と
掘り進んでゆく。出来上がれば大事にしていた貝とかを置いて当分の間隠れ家
になる。今でもよく出来たと思う小屋は掘りかけの防空壕の上に竹と蔓でわら
屋根のように笹の葉をはさみ雨も漏らないいい隠れ家が出来た。中は広くて5人
ぐらいは十分入れた。竹、蔓、立ち木だけを使い、肥後の守はいろんな物を作りだす
、魔法の手のようであり当然刃物使いはうまくなった。敷物にしたヒカゲノカズラ
(シダ植物でキツネノタスキという)は冬、陰干しをしてリースに使ったり、鯉の
産卵に使い今でも重宝している |
|